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宮古島の海と言えば、サンゴ礁。
八重干瀬と言って、広大なサンゴ礁群も有名です。
ここでは、沖縄県全体でも問題になっている、サンゴの白化現象のことについて、詳しくまとめました。
白化現象とは?
サンゴ礁と合わせてよく聞くワードが『白化現象』。
「はっかげんしょう」と読みます。
文字通り、サンゴが白くなる現象のことで、サンゴと共生する褐虫藻が減少することによって起こります。
褐虫藻とは、単細胞藻類の総称のことで、黄色や茶色っぽい色をしています。
本来のサンゴの色は骨のように白いのですが、この褐虫藻によって、色あざやかに見えるわけですね。
褐虫藻は光合成を行い、サンゴに栄養を供給しています。
つまり、その褐虫藻が減少するということは、サンゴが栄養を取り入れなくなってしまうということなのです。
白化現象は、サンゴが白くなる現象のことを指し、まだ死滅したわけではないので、時間はかかりますが再生して、回復する可能性はあります。
しかし、栄養を取り入れられないまま時間が経つと死滅する場合もありますので、現在、大きな問題となっています。
白化の原因
サンゴの白化現象の原因は、温暖化。
海水の温度が2〜3度上がるだけで、サンゴは影響を受けます。
ここ数年は、沖縄や宮古島に限らず、日本全体が異常なくらいまでに暑くなっていますよね。
熱中症の問題など、人間の生活も大変になりましたが、あちこちで生物の生態系にも影響を与えています。
サンゴの白化現象もその一つです。
しかし、この高くなった海水の温度を調整してくれる大切な自然現象があります。
それは、意外にも「台風」なのです。
台風が来ると、海の中をかき乱し、海上の温度が高い部分と、太陽の熱が届かない海底の温度が低い部分をかき混ぜて、温度を低くしてくれます。
台風は「百害あって一利なし」と思っていたのですが、こういった意外なところで役に立っていたのですね。
2016年、宮古島の白化現象
このように自然の現象で保たれていたサンゴの生態。
しかし、数年に一度訪れると言われる「エルニーニョ現象」が2016年に起こり、このバランスが崩れてしまいました。
エルニーニョ現象とは、南米ペルー沖の海面水温が高くなる現象で、このことが原因で世界で異常気象が起こるとされています。
2016年、宮古島でもこのエルニーニョ現象の影響を受け、海面水温が高いままの状態が続いたことと、台風があまり来なかったことが重なりました。
その結果、サンゴの白化現象の条件が整うこととなり、宮古島周辺のサンゴの69%が白化し、なんと31%が死滅してしまったと報道されました。
「宮古島周辺でサンゴ白化、高水温続き3割死滅 環境省調査」(沖縄タイムス 2017年3月1日)
白化の回復方法は?
白化現象が続いた結果、死滅したサンゴは元に戻りませんが、白化の程度が弱く、生き残ったサンゴは時間をかけて回復することができます。
また、産卵後の「幼生」(サンゴの赤ちゃん)が生き残るのは1%にも満たないとされていますが、それを人間の手で守り、生存率を高めるという実験も行われています。
「1%にも満たない」ってかなり低い数字なので、伸びしろはありますよね。ぜひ成功して欲しいものです。
しかし、サンゴの成長速度は5年、サンゴ礁を形成するにはさらに数年かかると言われています。
また、エルニーニョ現象ではなく、温暖化が続けば、白化現象も慢性化し、生き残る可能性も低くなります。
大規模な白化現象は現在、十数年に一度の頻度で発生していますが、これが毎年続くようになるかもしれません。
宮古島のサンゴまとめ
以上、宮古島のサンゴについてでした。
実は、宮古島に住んでいる住民であっても、シュノーケリングといったマリンアクティビティに興味がなければ、あまりサンゴ礁のことについて知らないのも現実です。
まぁ普段生活するだけであれば海にあまり出向かないし、関係がないと思ってしまうのもしょうがないですよね。
かく言う私もその中の一人。
2016年だけではなく、1998年に起こったという大規模な白化現象のことも知りませんでした。。。
大人になってから、色あざやかなサンゴ礁を初めて見たのですが、こんな自然環境の中に住んでいたんだな、と改めて感動しました。
そして、海面の温度が上昇することによって、サンゴが白化することも分かりました。
また、元に戻るには数年〜十数年かかることも。
他にも家庭ゴミであったり、生活排水で海が汚れてしまうと、サンゴにもストレスがかかってしまうとのこと。
サンゴを守るために、人間ができることはなるべく行っていきたいですね。
小さいことかもしれませんが、意識するだけできっと何か変化があるはずです。
はるか昔から、気の遠くなるような時間を積み上げて出来上がったサンゴ礁の美しさを、次の世代にも残していきたいですね。
参考:日本サンゴ礁学会
残って欲しい自然の財産