この記事は約 4 分で読めます。
沖縄ではおせち料理を食べないのでしょうか。
答えは、おせちやお雑煮といった習慣がなく、食べない家庭が多いです。
宮古島で生まれた私は、「おせち」という料理をテレビ以外で見ることなく育ちました。
そのため、私にとっておせち料理は、分かりやすく例えるとしたら、知ってはいるけど実際に食べたことがないアニメの骨付き肉のような感覚です。(笑)
それでは、沖縄ではお正月におせちやお雑煮ではなく、どういった料理を食べているのでしょうか。詳しくまとめました。
おせち料理について
おせち料理とは漢字で「御節料理」と書き、節日に食べる特別な料理のこと。
節日とは、季節の変わり目にお祝いを行うことで、例えば、お正月、桃の節句(ひなまつり)、端午の節句(こどもの日)、笹の節句(七夕)などがそれに当たります。
つまり、節日のお祝いに食べる料理のことをすべておせち料理と言うんですね。
ただ、現在では、節日の最も重要なお正月に食べる重箱に詰めた料理のことを指すようになっています。
おせち料理は地方によって構成は異なるものの、基本は祝い肴三種、焼き肴、酢の物、煮物とされています。
例えば、黒豆はマメ(勤勉)に働けるように、数の子は卵の数が多いので子孫繁栄を願うといったように、それぞれの素材や料理に意味があることも特徴です。
豪華さもあって縁起が良い、それに加えて保存も効くので、おせち料理はまさにお正月料理として最適なんですね。
沖縄のお正月料理
一方で、沖縄でのお正月料理はどういったものでしょうか。
先ほどのおせち料理の定義を当てはめるとしたら、沖縄だろうがどこだろうが、お正月に食べる料理であれば、それはおせち料理と言うのが正しいかもしれません。
しかし、沖縄ではおせち料理とは呼びません。
では、何と呼ぶかということになりますが、なんと名称がありません。(笑)
御三味(ウサンミ)という重箱に詰めて食べる風習はありますが、それは正月に限らず、年中行事で使用します。
つまり、他の行事の料理とお正月の料理の区別があまりないんですね。
そしてこの重箱の中身ですが、おせち料理のエビやタイといった豪華絢爛さがあまりありません。
お祝い料理というよりも、ご先祖様に食べてもらうという意味合いが強いというのもあり、またお祝い・法事の両方に使用されるからなのかもしれません。
重箱の料理の例は、
・かまぼこ ・昆布 ・ごぼう ・こんにゃく ・天ぷら ・豚の三枚肉 ・揚げ豆腐 |
これらが基本ですが、決まりごとは、「詰める料理の数を奇数にする」ということ。
どちらの風習も中国から伝わったとされるのでルーツは同じだとは思いますが、伝わり方や継承の仕方で随分違うものとなったようですね。
沖縄では、この重箱以外に、オードブルを頼んだり、クーブイリチーやラフテーなどの惣菜を足して、汁物は中身汁といった形が基本になります。
あとは、地域や家庭によって違ってきますが、私の祖父母の家では、山羊汁が必ず出ていました。
沖縄にお雑煮はある?
おせち料理と一緒に対で考えられるのが、お雑煮です。
お雑煮とは、お餅を主な具材とした、お正月に食べる汁物のこと。
沖縄には、先にもお話した中身汁を食べることが多いので、おせち料理と同じようにお雑煮を食べるという風習もありません。
餅を入れてお正月に食べればお雑煮になるという定義なので、中身汁にお餅を入れればそれがお雑煮とも言えますが。。。
少なくとも私の家庭では餅は別に焼いて食べていたので、お雑煮ではありませんね。
私が初めてお雑煮を食べたのは、大人になってから。
沖縄出身の先輩の家にお邪魔した時に食べたのですが、奥さんが兵庫の方で、それはもうしっかりとしたお雑煮というものをいただきました。
花の形をした人参と、紅白かまぼこのピンク色が可愛らしくて、目でも楽しめる素敵な料理だなぁと感動しました。
まとめ
以上、沖縄のおせち料理やお雑煮についてでした。
ルーツは同じ中国のはずなのに、長い年月をかけて違うものになっているのは興味深いですね。
ただ、今はおせち料理が、スーパーでそのまま売っていたりもするので、その境目は曖昧になってきているのかもしれません。
また、お正月だけは、中身汁ではなくお雑煮を食べるという家庭もあるようです。
私も小さい頃、こんにゃくをひっくり返したり、重箱に詰める手伝いをしたものです。
適当に詰めていたら「違う!」と怒られたことも、ほろ苦く淡い思い出です。(笑)
ただ、大人になってから思ったことは、これらを全部一から作り上げるのはとても大変だということ。
昔は家族や親戚の女性たちが一丸となって、たまに喧嘩しながら作っている光景が当たり前でした。
しかし、今は核家族化も進んでいますし、女性も仕事で忙しいというのもあって、簡素化・購入派が増えています。
さらに20年後くらい経つと、沖縄の食卓に並ぶお正月料理もすっかり変わっているかもしれませんね。
こ先祖さまの好きなもの