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沖縄の道を歩いていると、塀や壁の下の方に、「石敢當」と書かれた表札のような四角い石が貼られているのが、やたらと目につきます。
色も白や黒や灰色だったり、形も四隅の角がとれて丸っぽいものだったり、さらには直接壁に刻まれたものまであって、その種類は豊富です。
そもそも石に石って書いてあるのも謎ですよね・・・。これはいったい何なのでしょうか?
この漢字3文字の読み方や、その石の持つ意味や由来をまとめました。
沖縄の石敢當の読み方
まず、この読み方についてですが、「いしがんとう」と読みます。発音的には「いしがんとぅー」と言います。
「とぅー」を強く言うとそれっぽくなります。細かいですが。(笑)
存在する場所は、通りの突き当たりが多いですね。T字路と呼ばれるところです。あとは曲がり角や、十字路に置かれてある場合もあります。
石敢當の意味
石敢當を置く理由は一言で言うと「魔除け」です。
魔物は道を真っ直ぐしか進むことができないので、その突き当たりにある家の中に入ってくると言われています。
そこで、この「石敢當」を置くと、それに魔物がぶつかって消えるんだそう。なんだかゲームみたいですね。
つまり、吸血鬼でいうところの十字架、幽霊でいうところのお塩、キョンシーのお札、といった感じと同じで、「沖縄のお化けには石敢當」なんです。
起源
元々の起源は、はるか昔に中国から渡ってきた風水の習慣と言われていて、沖縄だけではなく鹿児島にも存在しています。
そしてこの「石敢當」ですが、先ほどもお伝えした通り、色や形はさまざまで、貼られている方角も特に決まりはなく、書かれている文字でさえ「石敢堂」や「石厳當」などと揺れています。
こんなんで良いのか、と思ってしまいますが、良いんです。(笑)
「そこに悪いことが来ないように」「家に魔物が入ってこないように」という気持ちが一番大事なんです。
しかし、ただ一つだけ統一されているものがあります・・・。
それは、「低い位置にあること」。
ということは、魔物は、背が低いんですね。だいたい50cmくらいでしょうか。
背が低くて小さくて、そして曲がることができないなんて、魔物と言いつつもなんだかかわいらしく感じてしまいます。
また、同じような意味を持つシーサーとセットになっているものも多いです。
家の前にシーサーと石敢當を置いておけば、鬼に金棒、もう悪いものは家の中に入ることは出来ません。
ただし、家の前に置くと、まさしく表札に見えて「石敢當さん?」と勘違いされてしまいますので、ご注意ください。
もちろん沖縄県内であれば、そんなことはありませんが。
しかし実際、沖縄の表札屋さんが石敢當制作も請け負っているところもありますので、結果、表札に似ているというのも納得ですね。
定礎に似ている
ただ、私個人的には表札よりも、ビルやマンションなどの建物の壁に付いている「定礎」に似ているなぁと思っています。
「定礎」とは、定礎と書かれた石板で、建物が完成した日にはめ込まれるもので、中には設計図や当時の新聞、関係者の名簿などが収められます。
つまり、その建物の記念品が入っているタイムカプセルのフタのような役割をしているんですね。
その意味は違えど、四角くて読みづらい漢字が掘られていて、下の方に位置していることが共通していますよね。
何か関係ないかなと、色々と調べましたが、定礎(礎石)は法隆寺の時代からの歴史があるようです。
それを辿ると中国につながるので、もしかしたらもしかするかもしれませんね。
川崎駅にもある
そしてこの「石敢當」、実は神奈川県の川崎駅にとても大きなものが設置されているんです。
私は、毎日川崎駅を利用しているにも関わらず、気づきませんでした。(反省)
これは、1959年、当時島の7割の家屋が損壊したという宮古島台風の被害に対して、川崎市が義援金を送り、その返礼として宮古島から贈られたもの。
こんな歴史があったんですね。知りませんでした。ありがとうございます。
善は急げと実際に訪れて見てみたのですが、本当に大きな石敢當がドンと置いてありました。沖縄でもめったに見かけない大きさです。(笑)
場所は、川崎駅東口を仲見世通りに向かって直進したところにあります。信号の手前です。
逆から見ると、仲見世通りから川崎駅の前に置かれてあるので、それでいうと、きちんと「通りの突き当たり」に置いてありますね。
これで、川崎駅には魔物が入ってこないようになっています。
まとめ
以上、沖縄の石敢當についてでした。
シーサーは全国的にも有名ですが、石敢當はその漢字の読みにくさからか、あまり知名度は高くありません。
けれども沖縄では、二大魔除けとして、シーサーと同じようにとても生活に根付いています。
由来は中国ですが、現在では中国にはそのような風習は存在せず、沖縄がずっと守り続けて今でも残っているというのは不思議なものですね。
こういった意味や歴史を知って、また沖縄の道に繰り出すと、また違った気持ちで「石敢當」を見ることができるかもしれません。
●おまけ
珍しい「石垣當」を発見!
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