宮古島とバイオエタノールの関係とは?これまでの経緯まとめ

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宮古島とバイオエタノール

宮古島は、国の支援を受け、2005年からバイオエタノールプロジェクトを進めてきました。

宮古島とバイオエタノールとの関係は何なのか、そしてどういったメリット・デメリットがあるのか、これまでの経緯を分かりやすくまとめました。

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バイオエタノールとは?

バイオエタノールとは、トウモロコシやサトウキビといった植物から作るアルコール燃料のこと。

ガソリンと混ぜて自動車用燃料として利用することができます。

 
現在、温暖化の原因は「二酸化炭素の増加」と言われていますが、

「植物が育つ時に吸収する二酸化炭素」は、
「バイオエタノールを燃やして出る二酸化炭素」と同じ量

という原理で温暖化対策になるとされ、エコロジー(自然環境保全)として期待されています。

また、ガソリンは石油製品ですが、石油が採取できる埋蔵量も限られているので、石油依存からの脱出にもなります。

 

その一方で、技術不足、バイオエタノールを製造する時に出る大量の廃棄物問題、原料の価格高騰とそれがもたらす食料不足問題も抱えています。

世界と日本

アメリカはトウモロコシ、ブラジルはサトウキビが作り出す原料で、すでにバイオエタノールの利用が広まっています。

ガソリンにバイオエタノールを20%以上を混ぜた自動車が走っているのは当たり前で、なんと100%バイオエタノール車もあります。

 
アメリカでは、2007年にガソリンにバイオエタノールを混合することを義務化。

ブラジルも1970年代のオイルショックをきっかけに、国家戦略として生産の拡大を続け、世界に向け輸出することでビジネスとして確立させることに成功しています。

そしてなんと、消費者がガソリンとエタノールの割合を自由に決めることもできます。

つまり、その日の価格を見て、「今日はガソリンが高いからエタノール多めで。」なんてことができるんですね。

 
一方、日本では、1930〜1940年代からすでにアルコール燃料の技術を持っていました。

当時、第二次世界大戦の終戦近くの燃料不足を解決するために、芋や米ぬかから作った燃料を混合する試験を行っていたとのこと。

しかし、石油の安価安定時代の到来で、その技術が発達することはありませんでした。
 

日本でも国産のバイオエタノールの事業化を推進していますが、国土面積やコスト面がネックになり、なかなか成功には至っていないことが現状です。

なお、2003年より法律で、ガソリンにバイオエタノール3%までの混合が認められました。

 

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宮古島のプロジェクトの経緯

宮古島の主流産業はサトウキビです。

山がないため、水の確保は昔から重大な課題でしたが、少ない水でも大きく育つことからサトウキビ産業が発達してきました。

このサトウキビを食料だけではなく、燃料として事業化できないかと、環境省委託による実証事業が実施されることになります。

2005年からプロジェクトスタート

電車がなく、移動手段をほとんど自動車に頼る宮古島。

そのため、自動車からの二酸化炭素排出の改善が大きな課題となっています。

このプロジェクトの目標は、

サトウキビからバイオエタノールを製造し、島内で消費されるガソリンをすべてバイオエタノール3%配合にすること。

宮古島で走っている自動車の数は約2万台。

年間のガソリン消費量は23930klで、必要なエタノール量はその3%である718klです。

そして、宮古島のサトウキビ生産量から生産可能はエタノール量は1827kl

「量」だけで見ると、2倍以上生産できるので、実現可能ですね。

 
事業推進の会社は、沖縄県の石油・ガス製品を販売する「株式会社りゅうせき」が環境省より委託されました。

そして建設メーカーや大学の研究機関なども参加し、ビッグプロジェクトとなります。

 

二酸化炭素の排出を抑えられること

地産地消であること

エコアイランドとしてアピールができること

こういった恩恵を期待することができ、2006年には100台、2008年には300台の官公庁車両が試験運転されました。

課題が山積み

一方で、「ガソリンに直接バイオエタノールに混合する方式」が不利益をもたらすと反対したのは石油連盟。

そのため、島内にあるガソリンスタンド19カ所のうち、2カ所しか供給できない結果となり、普及に歯止めがかかってしまいました。

 
また、製造コストもデメリットに。

ここ数年、石油が安定した価格で販売されているので、それを下回る「安さ」を提供しなくてはいけません。

そのためには技術開発が必要で、さらに費用がかかるといったところです。

 
また、廃棄物問題も出てきました。

エタノールを製造する時に発生する大量の液体廃棄物。

当初は肥料として土に戻す予定でしたが、その量が多すぎて、宮古島の地下水を汚染してしまう懸念が出て頓挫状況に。

どうすることもできずに、置きっぱなしでそのまま腐らせることになってしまいました。

結局、沖縄本島まで船で運んで処理する結果となりましたが、その輸送に使用する船の燃料が石油ですから、なかなかの本末転倒ですね。

とてもエコとは言えません。

2013年度から宮古島市が運営

あまり納得のいく成果が上がらないまま、2012年度で環境省による宮古島の実証事業は終了を迎えることになります。

そして、2013年度からは宮古島市がバイオエタノール製造施設の譲渡を受け、独自で運営していくことになりました。

2018年度事業終了

2016年度、ついに環境省がバイオエタノール事業そのものの廃止を決定します。

宮古島だけではなく、全国各地で事業化が行われていましたが、なかなか成功にいたらず、といったところでしょうかね。

アメリカやブラジルのような広大な面積がないので、日本には新しい技術開発・独自の戦略が必要でしたが、なかなか打開策が出なかった模様です。

 
この国の動きを受け、宮古島市では2017年度より、学校給食調理場のボイラー燃料として活用できないかという新たな施策を打ち出します。

しかし1年も経たずに、施設の更新費などコストの採算性がとれないことから、2018年度を持って、事業を終了することが発表されました。

宮古島のバイオエタノールのまとめ

以上、宮古島のバイオエタノールについてでした。

 
もし、事業化がうまく行っていたら、かなりのビックビジネスになったかもしれません。

当初は地産地消が目的でしたが、石油は有限ですから、その時が来たら島外からの需要が高くなり、島が活気付きますよね。

 
しかし、現在の動きとしては、石油に代わる移動用のエネルギー燃料は水素や電力が最有力候補とされています。

10年以上取り組んできたバイオエタノール事業。

この培ってきた叡智が、いつか何かのきっかけで大きく花を咲かせることを願っています。

  
参考サイト
環境庁 「輸送用エコ燃料の普及拡大について | バイオ燃料
日本経済新聞「エコアイランド宮古島のジレンマ
宮古毎日新聞社「バイオエタ事業化 今年度で実証事業終了

  

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