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沖縄にはお風呂に入らない習慣がある、というまことしやかな噂を聞いたことがありませんか?
嘘でしょ?と思うかもしれませんがあながち間違いではないと言えます。
実際のところはどうなのか、出身者がその習慣について詳しくまとめました。
沖縄のお風呂習慣
沖縄のお風呂の習慣ですが、正確にいうと、
「シャワーは浴びるけど、湯船(バスタブ)には浸からない」
という説明が正解です。
体を洗わない、ということではないのでその点は誤解しないでくださいね。(笑)
もちろん、全員が100%湯船を使用しないわけではありませんが、その傾向が強いことは確かです。
それでは、その理由についてさらに深く掘り下げて行きましょう。
暑いから
沖縄県は、亜熱帯気候に属するため、「暑い期間が長い」ということが、理由の1つとして挙げられます。
暑い時に熱いラーメンは食べたくなりますが、暑い時に熱い水には入りたくありませんよね。
そのため、さっとシャワーを浴びて済ませてしまう、という方が多いんですね。
反対に、汗をかきやすいので、1日に何度もシャワーを浴びる人もいます。
仕事が終わって、家に帰ってシャワーを浴びてから飲み会に参加、というのも普通の習慣です。
また、冬は寒いのですが、氷点下になることはないので、「体の芯まで冷える」という経験がありません。
そのため、湯船に浸かるメリットがあまりないということなんですね。
水不足だったから
沖縄は昔から水不足に悩まされて来ました。
そのため、水はとても貴重で、飲み水を確保するのにもとても苦労してきた歴史があります。
湯船に浸かるということは、大量に水を使うことにもなるので、もったいないという気持ちが上回ることは必然ですね。
温泉の習慣がないから
日本には全国各地に温泉地があり、温泉大国とも呼ばれています。
温泉のことについて、日本で最も古い歴史書である「古事記」にも記載されているということから、その歴史は長いことが分かります。
あの有名な豊臣秀吉も、戦さ続きの中、体の疲れをとる目的として好んで温泉(有馬温泉)を利用していたそうです。
そういった歴史背景から、日本人にとって温泉は「体の悪いところを治す」という治癒目的の意識が高いんですね。
腰痛や冷え性、関節痛の改善があるとも言われますしね。
そのため、国内での旅行を計画する場合、「温泉に行ってゆっくり休みたい」ということが、まず真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。
ただのんびりと浸かって何も考えずに過ごすだけでも、心の癒しにもなりますしね。
そういった、「お湯の中に浸かること」を家の中でも再現できるのが、湯船です。
ですから、湯船に浸かると疲れがとれる、健康になるといった意識が低いと思います。
その結果、「湯船に浸からなくても別に良い」という考えになります。
戦後の欧米文化とオリンピック開催
日本では、戦後の高度成長期に、欧米文化が一気に入ってきました。
1955年以降から住宅不足解消のため、キッチン、トイレ、浴室付きの団地が多く建てられていきます。
その浴室の中には、木製の風呂おけが付いていて、「浴室と風呂おけ(バスタブ)はセット」という認識が一般化していったとされています。
その後、ユニットバスが登場し、1964年の東京オリンピックをきっかけに一気に広まることとなります。
ユニットバスは、オリンピック開催までに、宿泊用ホテル建設(ホテルニューオータニ)を間に合わせるため、TOTOが開発しました。
それまで浴室1部屋の工期が1ヶ月かかっていたのに対し、ユニットバスはなんと2時間にまで短縮されたのです。
やっぱり締め切りってあるといいですね。
この発明をきっかけに、その後、ホテルや集合住宅ではもはやユニットバスは当たり前となっています。
世界では
海外に目を向けると、高級ホテル以外のホテルにはバスタブがないことが一般的です。
特に東南アジアの国々のホテルはシャワーのみが圧倒的に多いです。
また、ヨーロッパでも、バスタブはあってもシャワーしか浴びないという方も多いです。
最近、オーストラリアに旅行で行ったのですが、その時に泊まったホテルもバスタブはなく、四角いシャワー室が付いているのみでした。
世界から見ると、毎日浴槽に浸かる日本のほうが珍しいかもしれませんね。
現在の沖縄
浴槽に浸からない習慣がある沖縄ですが、家に浴槽がないかというとそうでもありません。
現在では、浴槽が付いている家の方が多いことが実情です。
例えば、那覇市で2LDKの賃貸アパート・マンションを検索すると、700件中、浴槽付きは470件でした。
一番多い1Kで調べてみると、2000件中1400件でした。
つまり、全体の6〜7割は浴槽が付いていることになります。
ちなみに関東地区で探してみようとすると、そもそも「浴槽付き」の条件がなかったです。。。
浴槽付きはもはや当たり前ということが分かりますね。
沖縄の宿泊用ホテルに関しては、現在ではほとんど付いているのではないでしょうか。
と言うのも、帰省する時に良くホテルを利用するのですが、浴槽なしのホテルに出会ったことがないからです。
これは先に述べたユニットバスの普及が大きく影響していると思います。
ただし、民宿やペンションなどは、浴槽が付いていない可能性もありますので、予約する時には確認してみると良いですね。
まとめ
以上、沖縄のお風呂事情についてでした。
体を洗わないのではなく、浴槽に浸かる習慣があまりないことが実情です。
その気候や歩んできた歴史を見ると、その理由は明らかですね。
もし、これから移住を考えている方で、絶対湯船に浸からないと嫌だ、という方は、物件を探す時には注意してくださいね。
浴槽が付いているのは当たり前と思って見落としてしまうと、後で後悔することになってしまいます。
しかし、実際に住んでみると、また感覚が変わってくるかもしれません。
「こんな暑い中、湯船に入ってられん!」と思うようになる可能性もあります。(笑)
こんな習慣の違いも楽しむ事ができるのも、移住の醍醐味の一つですね。
これらのことも含めて、ぜひ物件探しの参考にしてみてください!
気候と歴史が違うから。
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参考「沖縄ではウチナータイムが当たり前!仕事に影響はないの?」